蒸気レスによる塗装工程改革
発想の転換で「品質の安定化」と「CO2排出量73%削減」を同時に実現
お客さまPROFILE
株式会社東海理化(以下、東海理化)さまは、自動車用スイッチやキーロックなどの開発・製造を手がける自動車部品メーカーです。同社はトヨタグループの一社として、人の意志を車に快適に伝えるヒューマン・インターフェイス、車を守るセキュリティシステム、そして車に乗る人の命を守るセイフティシステムなどを通して、車のある豊かな社会づくりに貢献されています。
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背景・課題・当社の取り組み
背景:塗装品質の維持には、安定した湿度と温度が不可欠
製造工程では、温湿度の安定が塗装品質に大きく影響します。そのため、塗装ブース内の適切な環境管理が不可欠となります。一般的に、塗装ブースの温湿度管理にはボイラを熱源とした蒸気を使用する空調システムが広く採用されていますが、大量のエネルギーを消費するという特性があります。
東海理化さまの課題:塗装工程の高精度な温湿度管理と、省エネを両立へ
東海理化さまの塗装工程においても、蒸気を使用した空調システムで温湿度管理をおこなっていましたが、以下のような課題がありました。
- 変化する温湿度に応じて、作業者がその都度塗料の調合を微調整する必要があり、手間を要するだけでなく品質のばらつきが発生
- 大量の蒸気を使用する空調システムは、エネルギー消費が大きく、CO2削減目標との両立が困難
当社の取り組み内容:蒸気レスで、高精度かつ省エネな温湿度装置を開発
エネルギー消費削減に向けて、中部電力ミライズが取り組んだのは、「蒸気を使わない」新たな温湿度装置の開発でした。
東海理化さまから相談を受けて最初に取り組んだことが、企画部門や製造部門、現場で実際に作業する作業者などへのヒアリングでした。各部門が抱える課題の聞き取りを重ねる中で、塗装工程の空調システムに求める温湿度条件の他、設置スペースや、他の塗装ブースでも風量・温湿度等の要求条件に応じて柔軟に設計可能であることといった今後の拡張性も考慮したいというニーズも確認しました。
これらの条件を満たすための最適なシステムはどういったものか、ここから中部電力ミライズの開発はスタートしました。
まず取り組んだのは、「高精度な温湿度制御」と「高い省エネ性能」の実現です。ここで中部電力ミライズは、塗装工程に豊富な知識と経験を有しているアンデックス(広島県尾道市)とともに「蒸気」を使わず、「温水」を活用して湿度や温度を調整する装置を検討。温水をヒートポンプ方式で作り、さらにその温度を30℃に抑えることにより、これまでにない装置を企画。大幅に省エネ性を向上させることに成功しました。また、ヒートポンプを使用した空調システムは従来から存在しましたが、調温・調湿の制御性に課題がありました。そこで大量の水と空気を「直接接触」させることにより高精度な温湿度管理も実現。加えて、東海理化さまの要望を踏まえ、メンテナンス性も維持しました。
さらに、「設置スペース」や「今後の拡張性」といったニーズに合わせて仕様を検討。モジュールタイプかつ省スペースでの設置が可能で、お客さまの設置条件に合わせてカスタマイズできることの他、複数の風量ラインナップを設けることで将来的な拡張にも柔軟に対応できる仕様に設計しました。
(注)本開発にあたっては、東洋熱工業さまに技術協力をいただきました。
導入効果
温度±0.2℃、湿度±2%RHの高精度な温湿度管理を実現
塗装工程での温度や湿度環境を最適に維持するためのエネルギーコストは約65%削減
CO2排出量は73%削減
温湿度の安定により塗装品質のばらつきが大幅に減少
作業者による塗料の微調整作業がほぼ不要となり、作業負荷を軽減







株式会社
東海理化
担当者さま
現場の課題を深く理解したうえで、「製品ありき」ではなく課題解決を起点とした提案をしていただけたことが決め手でした。運用コストを含めて十分なメリットが得られる試算と、技術面での支援が得られ、導入に踏み切れました。今回の取り組みも含め、脱炭素への取り組みが社内の共通目標となり、社員の意識改革にもつながっています。