排水処理で発生する産業廃棄物の削減に挑戦

排水時における油分処理に「マイクロバブル」の発生原理を応用する新発想から、
廃棄物コストの削減と環境負荷の軽減を達成

お客さまPROFILE

トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車)さまは、1937年の設立以来、「クルマづくりを通じて社会に貢献すること」を理念にモータリゼーションの進展に大きく貢献してきました。
今回の取材先となる衣浦工場さまは1978年から稼働し、駆動関係の部品を専門に製造。現在は主にトランスミッションやハイブリッド用トランスミッションを生産しています。

index

背景・課題・当社の取り組み

背景:工場の排水処理における産業廃棄物の問題

国内の産業廃棄物のうち、4割が汚泥と言われています。工場では、冷却や洗浄などの工程で、多くの水を使用しますが、これらは、そのまま放流することはできないため、薬剤を使用するなどのさまざまな処理を経て清浄化しています。この排水処理の過程で汚泥が発生し、油分や溶剤、薬品などが多く混ざっている水ほど排水処理時に発生する汚泥量も増加。汚泥は、処分に費用がかかり、環境負荷の増大につながる問題があります。そのため、排水を初期段階で清浄化することは、その後の工程での処理負荷低減にもつながるため、非常に価値が大きい取り組みです。

トヨタ自動車さまの課題:排水の減容化に立ちはだかる、油分分離の課題

トヨタ自動車さまの衣浦工場でも、鍛造工程で発生する排水に油分が含まれており、その処理の過程で発生する廃棄物が課題となっていました。

  • 従来は、排水中に含まれる水分を蒸発させ、濃縮後に残った油分も含めて廃棄物として処理していた。
  • 排水中には、油分と水が強固に混ざり合った「エマルション状態」の物質が多く含まれており、通常の濃縮分離では油分と水が分離しづらく、濃縮効率が大幅に低下してしまう
  • そのため、排水の大きな減容化が図れず、廃棄物の大幅削減が難しい
  • 最終的な廃棄物の処理にも多額のコストがかかってしまうため、経済性と環境性の負担に

当社の取り組み内容:新発想で油分と水を分離する独自装置を開発

世の中にある既存の製品や技術では、上記の課題や社会背景を根本的に解決することは難しかったため、中部電力ミライズが取り組んだのは、新しい排水処理技術の開発でした。

家庭用の風呂やシャワーで皮脂汚れを落とす身近な技術「マイクロバブル」の発生原理に着目。これを応用することで、エマルションを水と油に分離して、マイクロバブルによって油分を吸着することができるのではないかとの仮説から、機械の力でエマルションを分離する独自装置の開発を開始。開発にあたり、排水中の異物が装置に詰まるなど各種課題に直面。しかし、中部電力ミライズの実験施設内でシミュレーションと改良を何度も繰り返すことで最適な装備構造を追求。最終的に、排水を高速で旋回させて水分と油分に分離したうえで、マイクロバブルで油分を吸着・浮上させる独自の「エマルションブレイクシステム(EBS)」の開発に成功しました。 さらに、フィールドトライ装置を用いて実際の排水条件下での性能を入念に確認し、トヨタ自動車さまの衣浦工場の現場実態に即した効果を実証。導入にあたって確実性もしっかりと確認したうえで、導入をおこないました。

EBS投入前(左)とEBS投入後(右)の表層の様子
EBS投入前(左)とEBS投入後(右)の表層の様子

導入効果

  • 1

    濃縮装置の濃縮倍率が従来の1.87倍に向上

  • 2

    廃液による廃棄物量を45%削減

  • 3

    排水処理費用の大幅削減により、投資回収年数2年以内を実現

お客さまの声

クライアントのアイコン

トヨタ自動車
衣浦工場
担当者さま

課題が見えづらい領域であっても、中部電力ミライズとともに課題を明確化し、解決策を見出すことができました。フィールドトライによる事前検証で実態に即した効果が確認でき、現場も安心して導入を進められました。

ページトップへ