ニューラルCEO 信州大学グリーン社会協創機構特任教授 夫馬 賢治

銀行融資が受けやすい今こそ取り組もう!脱炭素で盛り上げる地域経済

1. 企業の未来を照らす脱炭素

脱炭素への誤解

中小企業の皆さまの中には、脱炭素とは「大企業からの要請により、ある種の義務感で取り組まざるをえないこと」という認識をされている方が多いのではないでしょうか? 実際、取り組むにはコストや社内のリソースがかかりますし、優先度高く検討することさえ難しい状況かと思います。 しかし、「脱炭素は決して中小企業の皆さまを苦しめるものではない」ことをご理解いただけたらと思います。 というのも、脱炭素は皆さまの抱える経営課題を解決する可能性を秘めているのです。

解決が期待できる経営課題

取材風景

例えば、脱炭素に取り組むことで解決できる主な経営課題として2つ挙げるとすれば、一つは、現在多くの企業が悩む“人材の確保(人手不足)”です。
2026年卒予定の大学生・大学院生へのアンケート調査(注1)によると、「52.8%の学生が、仕事選びの際に企業のSDGsの取り組みを意識する」と回答しています。
この結果から、未来を見据えて社会にとって良い活動をおこなっている企業には、人材が自然と集まりやすくなってきていることが分かります。

次に、“売上の拡大”にも効果が期待できます。
現在、大手企業では株主の意向などを要因に、脱炭素に取り組む企業との取引を望む傾向にあります。一筋縄ではいかない脱炭素にいち早く取り組むことで、取引先として選ばれ、新規取引先の獲得につながる可能性を持っています。

(注1)出典:株式会社学情「2026年卒アンケート SDGsについて

2. 銀行の思惑とメカニズム

銀行が中小企業を支援する理由

ただ、いざ脱炭素に取り組もうと思っても、取り組むための資金不足に悩む中小企業の皆さまも多いのではないでしょうか?日本商工会議所の調査(注2)によると、中小企業の4社に1社が資金不足を脱炭素に取り組むハードルとして挙げています。また、7割以上の中小企業が、政府や自治体に期待する脱炭素の支援として「資金面での支援(補助金、税優遇など)」を求めている、という調査結果(注2)もございます。

ですが、実は近年、全国の金融機関で脱炭素における融資を受けやすくなっていることをご存じでしょうか?
ここ数年で、省庁・業界団体が主催する金融機関向けの脱炭素セミナーや勉強会が数多くおこなわれたことで、金融機関は企業が脱炭素に取り組まないことによる経営リスクに気づき、地域の中小企業に向けて取り組みを働きかけています。

金融機関側にとっても、地元の経済が潰れてしまったらそもそも自分たちも生き残れない。地元の企業に脱炭素への関心を持ってもらうことで今後さらに地域経済を活性化させられ、それが何倍にもなって自分たちに良い形で返ってくることをメリットだと感じ、その認識が全国の地銀、第二地銀、信用金庫まで年々広がっているのです。

各金融機関では「サプライチェーンから外されないようにする」という合言葉のもと、地域の中小企業に脱炭素への取り組みを積極的に促しているのです。

(注2)出典:日本商工会議所 「中小企業の省エネ・脱炭素に関する実態調査

銀行が中小企業を支援する理由

地銀でも進む、中小企業支援事例

取材風景

具体的に、先進的に動かれている銀行で例を挙げるとすれば、静岡銀行さんですね。私が選定委員を務めている、「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」という環境省主催の表彰で、23年と24年に2年連続で金賞を受賞されています。

静岡銀行さんが、まず初めに取り組まれたのは地元の中小企業に脱炭素への関心の有無を定点観測し始めたことです。
調査を始めた当初は関心度が非常に低く、温室効果ガス排出量の算定を費用をかけてまでおこないたくないという企業が多かったようです。

そのため静岡銀行さんはベンダーと共同開発した排出量算定ツールを1ID無償で提供をしているほか、取引先に削減計画を掲げてもらい、達成状況に応じて金利を下げられる融資商品を提供するなど、中小企業でも取り組みやすいしくみや融資商品を用意することで、地元企業が抱える課題を一つずつ解決しています。

融資判断のポイント

では、銀行は中小企業の何を判断材料として融資を決定しているのでしょうか?

銀行は、その会社が現状の経営状況だけを考えている企業なのか、数十年先を見越して動こうとしている企業なのかを、融資を検討する際の重要な評価ポイントとしています。脱炭素もその評価軸の一つであり、長い時間軸で脱炭素をどのように実現していこうか考えられている企業に対しては銀行も安心感を持ち、融資しやすくなる傾向にあります。

3. 脱炭素で目指す地域経済の活性化

これまでの話で、今、中小企業が脱炭素に取り組むことのメリットはご理解いただけたかと思います。
一方で銀行側にも、脱炭素によって地域経済を活性化させることで投融資額を増やすことができるというメリットがあり、中小企業と銀行どちらにおいても取り組むための環境が整ってきているように感じます。

今このタイミングで、中小企業の皆さまには
ぜひ臆さず取り組み始めていただきたいと思います。
脱炭素の実現に向けて数十年先を見越して動き、
銀行とも手を取り合い、脱炭素で地域経済を盛り上げましょう!

icon
ニューラルCEO 信州大学グリーン社会協創機構特任教授 夫馬 賢治

ニューラルCEO
信州大学グリーン社会協創機構特任教授
夫馬 賢治

東京大学、北海道大学、青山学院大学、立教大学でも教鞭を執る。
ESG/サステナビリティ分野で複数企業の社外取締役やアドバイザーに就任。環境省、農林水産省、厚生労働省、経済産業省、スポーツ庁で審議会や委員会の委員を歴任。Jリーグ特任理事、ウォーターエイド・ジャパン理事、資源循環推進協議会理事、MASHING UP理事も現任。テレビ、ラジオ、新聞、オンラインメディアなどで解説を担当。
ハーバード大学大学院サステナビリティ専攻修士、サンダーバード・グローバル経営大学院MBA、東京大学教養学部国際関係論専攻卒。著書「ESG思考」「超入門カーボンニュートラル」「データでわかる 2030年 地球のすがた」他、6冊。最新刊「データでわかる 2030年 雇用の未来」。

「中部電力ミライズ」は、中小企業の皆さまが安心して脱炭素を始められるようにご支援いたします!

まずは脱炭素のことを知りたい

  • 脱炭素化の基礎知識や取り組む理由が知りたい
  • 脱炭素化に取り組むメリットが知りたい
  • 段階や予算に応じて相談にのってほしい

個別相談で、これら全てを解決できます!

個別相談ご参加はこちら

まずは小さな取り組みから始めたい

  • 「割合供給」によるミニマムスタート
  • 最短2ヶ月のスピード導入
  • ロゴの活用で取り組みを効果的にPR

Greenでんきで脱炭素をスタートしましょう!

Greenでんきについてはこちら
ページトップへ