Story
01
脱炭素へ世界が動きだした。
今、企業にできること
これから、全7回を通して、企業の皆さんが取り組むべき脱炭素化について、基礎から最新動向、そして実践まで、分かりやすく解説していきます。今回は、世界の動き、そして産業界が果たす役割を理解するところからはじめましょう。
今回のコラムで学べること
- 世界の脱炭素化の流れ
- 企業の脱炭素への取り組み方
- 脱炭素化でビジネスチャンスをつかむ
Chapter 01 もはや避けられない「現実」と向き合う
私たちの未来を守るために。
地球温暖化の現実
温室効果ガス、特に二酸化炭素の増加による地球温暖化は、もはや避けて通れない現実となっています。1990年代に入ると、地球温暖化をはじめとする地球規模の環境問題が深刻化しはじめ、世界経済フォーラム(ダボス会議)が毎年発表する「グローバルリスクレポート」では、2011年以降、気候変動によるリスクはずっと上位にランクイン。2017年からはなんとトップになってしまっています。
私たちの社会や経済に甚大な影響を及ぼす気候変動リスクは、企業にとっても他人事ではありません。自然災害の増加によるサプライチェーンの混乱、消費者の環境意識の高まりによる従来製品の需要低下など、様々なリスクが考えられます。
Chapter 02 「転換点」を経て、新たな潮流へ
世界は動きだした。
脱炭素化の潮流と未来
しかし、こうした状況を打開すべく、世界は動きだしました。最新の「グローバルリスクレポート」で最も重要なキーワードとして挙げられているのが「転換点(ターニングポイント)」です。脱炭素と経済成長は両立困難と考えられてきましたが、ここに来て、同じ方向を向きつつあるというのが「転換点」の意味するところです。世界経済フォーラム(ダボス会議)に参加する企業のCEOたちが、2024年1月にシステム変革を求める10の気候変動対策を提起したことなどは、この転換点の象徴的な出来事と言えるでしょう。
世界が環境問題に対して本格的に動き出したのは1992年の国連環境開発会議(地球サミット)です。ここで採択された気候変動枠組条約を皮切りに、毎年締約国会議(COP)を開催し、国際社会は協調して地球温暖化防止に取り組んできました。1997年のCOP3で京都議定書、そして2015年のCOP21でパリ協定と、世界共通の目標に向かって歩みを進めています。
Chapter 03 未来を拓く「脱炭素」
世界が動き出す時。
企業の役割とビジネスチャンス
パリ協定では「産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃より低く抑え、さらに1.5℃に抑える努力をする」という目標を掲げています。この目標達成には、経済活動の中心を担う産業界、そしてその構成員である一つひとつの企業の積極的な取り組みが不可欠です。
企業は日々の事業活動を通じて、多くのエネルギーを消費し、多くの二酸化炭素を排出しています。工場を動かすにも、オフィスで仕事をするにも、電気やガス、ガソリンが必要です。製品を製造し、世界中に輸送するにもエネルギーは欠かせません。
しかし、見方を変えれば、これは企業にとって大きなビジネスチャンスだとも言えます。省エネ技術を導入し、再生可能エネルギーを利用することで、エネルギーコストを削減できるだけでなく、環境負荷の低い製品開発は、企業の競争力を強化し、新たな市場の創出に繋がる可能性を秘めています。今や環境負荷に配慮された製品であることが欧州への輸出産業では必須であることを例に見ても、この潮流は世界的な広がりを辿っていくでしょう。
次世代のために、そして自社の未来のために、企業は今こそ、脱炭素化の潮流に乗り出すべき時を迎えているのではないでしょうか。