再エネ発電量の最大化を目指すも、
「余剰電力」の使い道が障壁に
産業機械や酪農機械の開発・製造・販売をおこなうオリオン機械株式会社(以下、オリオン機械)さま。再エネ導入を重要な柱と位置づける中で、課題となっていたのが、自社の広い屋根の活用方法でした。
オリオン機械さまは、省エネ型設備の導入や全社用車のEVへの切り替えなど、脱炭素化に向けて多角的な取り組みを進めていますが、新工場の建設を機に脱炭素経営を本格化し、その一環として、工場の屋根上に太陽光発電設備を導入。屋根スペースを可能な限り活用し、最大限の太陽光パネルを敷設することで発電量を最大化することを計画されていました。

ところが、発電量が自工場の電力消費量を上回って使いきれない電気、すなわち「余剰電力」が発生してしまうことが判明。この余剰電力をいかに有効活用するかが、再エネ導入を最大化するうえでの大きな課題となっていました。
発電した電気を別拠点へ融通、
さらに水素への転換で再エネの最大活用へ
この課題に対し、当社は余剰電力をグループ内で有効活用する方法をご提案。初期費用負担なしの「オンサイトPPA方式」で中部電力ミライズグループが屋根全面に太陽光パネルを設置し、発電した電力のうち、工場内での自家消費分を超える余剰電力を、送配電線を介して同社の別工場やグループ会社の拠点へ「オフサイトPPA」として供給するハイブリッド型のPPAスキームとなります。
この方式では、屋根全面を活用できるため、設置規模増によるスケールメリットも働き、安価に再エネを活用することが可能となるうえ、屋根の遮熱効果なども期待できます。
また、オリオン機械さまの強みである水素技術を活用し、自社内でエネルギーとして多角的に利用するといった先進的な実証実験も計画しています。一つは、「ロウ付け」という金属同士を接合する工程において、太陽光で発電された電力で製造した水素を、水素バーナーによるロウ付け作業で活用するというもの。これにより、CO2を排出しないクリーンなものづくりを目指されます。さらに製造された水素を貯蔵しておき、夜間にその水素を燃料電池で電気に変えて、電灯などに使用する試みも検討されています。
こうして余剰電力の課題を解消し、屋根上の全面を有効活用して再エネを導入できることになったオリオン機械さま。この取り組みにより年間約179万kWhの再エネ活用が見込まれており、これはグループ全体の電力使用におけるCO2排出量を年間約18%削減することに相当します。
オリオン機械の担当者さまは、「新工場の建設と並行して進める工程調整や、新しいしくみゆえの制度理解といった点が大きなハードルでした」としつつも、「中部電力ミライズには関連制度の解説から導入効果のシミュレーションまで丁寧に支援していただき、再エネ活用最大化のビジョンを共有できました」と評価いただきました。
柔軟な脱炭素経営により、
自社での再エネ活用効率が大幅に向上
今回の取り組みは、単にCO2排出量を削減するだけでなく、グループ内で電力を融通し合うことで再エネ導入を最大化するモデルケースとなりました。社内からは「再エネを自社グループ内で循環させられる点が意義深い」との声が挙がっているとのことです。また、各拠点の電力使用量に増減があった場合でも、供給の割合を柔軟に見直すことで、発電した電力を余すことなく使い切れる点に大きなメリットを感じていただいています。
オリオン機械さまは今回の取り組みにとどまらず、水素の利活用という次なる挑戦にも目を向けています。社会が目指す脱炭素化の未来を力強く牽引する、オリオン機械さまの未来の活動にもより一層期待が高まります。





