再エネ拡大を目指し、
取引先と連携して挑む脱炭素化
静岡県西部の遠州地域で2025年1月に始動した「遠州脱炭素プロジェクト」。これは、再エネ電力を参画企業間で融通することで、地域全体における太陽光発電の導入量の最大化と有効活用を図る取り組みです。
このプロジェクトに参加したスズキ株式会社(以下、スズキ)さまは、サプライチェーン全体でのCO2削減を重要なテーマとして掲げており、取引先との具体的な連携方法を模索していました。

同様にプロジェクトに参加する、スズキさまのパートナーである精密部品メーカーの株式会社アイゼン(以下、アイゼン)さまは、工場屋根への太陽光パネル設置を検討。しかし、屋根スペースを最大限活用して設置した場合、休業日などに発電した電力を自社工場だけでは使いきれず、せっかく発電した再エネが無駄になってしまうという課題に直面していました。
再エネを最大化しつつ、いかに無駄なく活用するか。両社が抱える課題を同時に解決するため当社が提案したのが、サプライチェーン間で電力を融通し合う、これまでにない取り組みでした。
自家消費と余剰分の有効活用により
再エネ導入量を最大化
この取り組みは、アイゼンさまの工場屋根に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を両社で分け合うというスキーム。静岡県浜松市にあるアイゼンさまの小沢渡東工場の屋根上に、初期費用負担なしの「オンサイトPPA方式」で設置された太陽光パネルから発電される電力は、まずアイゼンさまが自社工場内で自家消費。そして休業日などに発生する余剰分は、送配電線経由で「オフサイトPPA」としてスズキさまの本社へ供給されるしくみです。
このハイブリッド型のPPAスキームにより、アイゼンさまの工場で生まれる年間約39万kWhの再エネ電力が無駄なく活用される見込みで、地域全体のCO2排出量の削減にも寄与しています。
こうして、アイゼンさまは余剰電力の問題を解消。屋根全面を有効活用して最大容量のパネルを導入でき、また、スズキさまはパートナー企業から再エネを安定調達することにより、自社のサプライチェーンの脱炭素化を進めることにつなげました。両社にとって追加投資の負担なく、再エネの価値を最大化できる点も大きなメリットとなりました。
地域由来の再エネを「選んで」「使う」ことで、
遠州地域の脱炭素化に貢献
今回の取り組みに対して、アイゼンさまからは「この取り組みが社内外で高く評価され、メディアで紹介されたことで社員の環境意識も向上しています」との声をいただきました。スズキさまは「サプライヤーであるアイゼンさまが工場で発電した電気を無駄なく活用できるようになり、屋根上スペースの有効活用と再エネ導入量の最大化が実現しました。サプライチェーン全体でのCO2排出量削減に貢献できる点は社内外から高く評価されています」と、取引先さまと連携した取り組みの意義を高く評価してくださいました。
スズキさまとアイゼンさまのように企業間で再エネを融通し、地域由来の余剰電力を「選んで」「使う」ことが、地域全体の再エネを「増やす」ことにつながります。一社の屋根から始まった挑戦は、地域全体の脱炭素化を加速させるモデルケースとなっています。
今後、スズキさまは「スズキ環境ビジョン2050」にもとづき、生産工程における省エネ高度化や再エネ発電のさらなる拡大を計画。アイゼンさまも2030年までにCO2排出量を2016年比で40%削減、2050年のカーボンニュートラル達成を目標に、工場の近隣地所を活用した自家消費型太陽光発電の設置など、さらなる再エネの導入を検討されています。当社は、地域の脱炭素化をともに推進するパートナーとして、両社の新たな挑戦を引き続きサポートしてまいります。





