導入ソリューション

GXコンサルティングサービス

生産ラインの検討には、
製品品質、コスト、省エネなど、
複雑な要素が絡む

医療用医薬品などを幅広く手がけるMeiji Seika ファルマ株式会社(以下、Meiji Seika ファルマ)さま。医療現場に不可欠な抗菌薬の安定供給という使命を担い、約30年ぶりにペニシリン原薬の製造再開に向け、岐阜工場において製造工程「再構築」プロジェクトを進めています。
既存設備を最大活用した生産工程の再構築にあたり、限られた予算と厳しい納期の中、かつメーカー・機器などの多様な選択肢がある中で、どうやってプロジェクトを動かし、品質向上とCO2排出量削減を両立させるか、課題が山積していました。
Meiji Seika ファルマさまがペニシリン製造に再着手された背景には、国内における抗菌薬の調達不安の解消という社会的使命があります。厚生労働省の「医薬品安定供給支援事業」への採択を受け、2022年12月から岐阜工場での国産化プロジェクトをスタート。その実現に向けては、人材不足をはじめとした、多くの壁を乗り越える必要がありました。

Meiji Seika ファルマ株式会社さま

パートナー企業と
最適な生産ラインを検討

生産工程の再構築において、エネルギー利用設備の選定は極めて重要な課題となっています。生産ラインは、さまざまな機器から構成されますが、機器メーカーや容量、機能などの選択肢が多岐にわたる中、機器メーカーごとに得意とする方式や仕様が異なるため、メーカー選定前に、自社に最適な方式を検討するプロセスが非常に重要となります。限られた時間と予算の中で、製品品質はもとより、省エネ性能、コスト、メンテナンス性など、多面的な検討が必要です。しかし、専門的な知見を持つ人材やノウハウを社内に持つ企業は多くありません。一般的には、不足する人材などを補うため、先にメーカーを選定して、一緒に検討を進めるケースが多く、結果として、当該メーカーの仕様による制約が生じます。メーカー選定前の計画段階において、自社内だけで各種検討や判断をおこなうのは容易ではありません。限られた時間と予算の中で品質向上と省エネ・脱炭素化を同時達成するのは、Meiji Seikaファルマさまにとって、非常に高いハードルとなりました。

Meiji Seika ファルマ株式会社さま

そこで、Meiji Seika ファルマさまは、製造再開に向けた工場の設備更新と既存設備の最大活用を前提とした生産工程の再構築にあたり、中部電力ミライズの「GXコンサルティングサービス」を活用し、計画段階から一緒に検討を開始。中部電力ミライズは、さまざまな業種の設備改修に関わった実績があり、省エネ・再エネの豊富な技術知見を保有。本プロジェクトにおいても、計画段階から、生産工程の詳細分析を経て必要なエネルギー量を洗い出し、最適な省エネ設備・再エネ設備を選定することで環境負荷の小さい製造工程の実現に挑みました。

Meiji Seika ファルマの担当者さまは「薬品製造特有の複雑な工程において、設備全体、配管系統、制御システムなど、工程ごとに把握すべきエネルギー量が、異なることが最大の課題でした」と振り返ります。そこで生産工程を分単位で洗い出し、必要なエネルギー量を正確に算出。限られた時間と予算の中で、算出したエネルギー量に応じて、最適な機器を組み合わせ、選定するため、Meiji Seika ファルマさまは中部電力ミライズと議論を重ねました。また、冷却システムでは、コスト面から検討された既存の井水使用を見直し、環境負荷の低減を重視した循環式システムへの転換を決断するなど、トータルで最適なエネルギーシステムを構築することができました。
担当者さまは、「中部電力ミライズは、複数の設備改修を同時並行で進める中、工程管理から関係者間の調整まで一貫してサポートいただき、プロジェクトの目標達成に尽力いただきました」と語られます。

Meiji Seika ファルマ株式会社さま

CO2排出量と水使用量の削減見込みに加え、
QCDの目標達成も実現

こうしたプロジェクトの成果として、Meiji Seika ファルマさまで2025年度内に生産を開始する工場における、大幅な井水使用量削減や、温水系統・冷水系統のCO2排出量削減といった、大きな成果につながる見込みに。
工場内の数百台にもおよぶ生産設備は、それぞれ異なるタイミングでさまざまなエネルギー量を必要とします。今回のプロジェクトでは、エネルギー供給の最適化をリアルタイムで進めることで、脱炭素化とQCD(品質・コスト・納期)の両立を実現。お客さまの事業内容を深く理解し、二人三脚で課題解決に取り組む伴走型の支援が成功の鍵となりました。
明治グループの一員として2050年までの実質カーボンニュートラル実現を目指すMeiji Seika ファルマさま。今後について担当者さまは、「今回の対応を一過性のものとせず、生産活動を続けていく中で、継続的に省エネ施策の実施や高効率設備への更新などの取り組みを進めてSDGsの達成に貢献していきたい」と、さらなる進化への意気込みをお聞かせくださいました。2025年の本格稼働に向け、医療への貢献と環境配慮を両立する次世代型工場の実現が、着実に近づいています。

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