精密加工工場の常なる課題

ナブテスコさまでは省エネ活動をグローバルに推進し、各生産拠点における高効率な設備の導入、最新の環境技術を活かした工場建屋の新築・建て替えなどを進めています。さらに太陽光発電をはじめとする様々な創エネ活動に加え、再エネ調達(証書購入)も実施するなど、気候変動に関する包括的な取り組みを実施しており、CDP(注1)から「気候変動」の分野において7年連続、「水」の分野においても3年連続で最高評価(注2)であるAリスト評価を獲得しています。(2022年度現在)

ナブテスコ株式会社さま

ナブテスコ岐阜工場さまの主力製品は、航空機の操縦舵面を作動させ飛行姿勢を制御するフライト・コントロール・アクチュエーション・システムで、主要部品の加工精度の確保のために工場内温湿度の管理が重要です。一方で精密加工時に機械から発生する排熱やオイルミストの対策および微細なサビの抑制が要求され、どうしても空調の消費電力が増加するという特徴があり、工場内環境を維持しながら、消費電力を削減する方法に常々悩まれていました。

(注1)CDP:英国を拠点に活動する非政府組織(NGO)。企業に対し気候変動などに対する取り組みに関する情報を管理するシステムを運営している。

(注2)最高評価:「気候変動」分野2022年度:全回答日本企業数1,101社中、最高評価は75社(7%)「水」分野2022年度:全回答日本企業数261社中、最高評価は35社(13%)。

工場内温湿度をクラウド上で
「リアルタイム」に「見える化」

工場内環境の維持をしながら、消費電力を削減するためにナブテスコ岐阜工場さまでは温度計を工場内に複数台設置し、空調の運用方法を見直すことで100トン以上のCO2排出量を削減しました。しかし、温度測定箇所の点データだけでは、空間全体の面的な温度分布変化を把握することが難しく、また改善前後の変化もデータ解析後にしか確認できないという課題がありました。

会議の様子

この温度データの活用に関わる課題は、ナブテスコ岐阜工場さまに限らず、さまざまなお客さまにも当てはまる課題です。この課題解決のために、当社は点データを連続的な面データとして可視化して、空間の温度ムラや熱だまりなどを把握するシステムとしてMieruTIME4Dを開発していました。ナブテスコ岐阜工場さまに、このシステムを活用したところ、エリアや工場内の垂直方向での温度分布や時間帯による特徴が一目でわかるようになりました。また改善を進める中で、リアルタイムに温度状況を確認したいという要望があったことから、システムに改良を加え、温度状況をクラウド上で「リアルタイム」に「見える化」するシステムを開発し、2022年7月より導入いただきました。本システムを活用しながら、給排気バランスの改善に向けた活動を進めています。

最適な空調更新による
更なる脱炭素化

ナブテスコ岐阜工場さまは設備更新の面でも課題を抱えられていました。それはHCFC(R22)冷媒の全廃に伴う空調更新の期限が迫る一方で、対象設備が多岐に渡り、過去の増改築の影響もあり更新計画を立てることが困難な状況でした。この課題についても当社のソリューションにより解決しました。
具体的には、エリアごとの熱負荷、空調用途、利用状況から、最適な更新案を立て、メーカーとの調整、行程管理の支援をおこなうことで短期間での更新を実現しました。本更新によりエネルギー使用量は58%、CO2排出量は179トンの削減を見込んでいます。

ナブテスコ岐阜工場 集合写真

ナブテスコ岐阜工場の担当者さまは「空調更新1つ取っても検討項目は多岐に渡り、単純に設備更新するのではなく、外気を取り入れる方式や多機能化が進むルームエアコンの採用など、多角的な観点から提案してもらえた。また運用改善による空調負荷最小化のアドバイスなどをもらえ、非常に助かっている。今後も引き続き、良きパートナーとしてサポートいただきたい。」とお話しいただいております。

ナブテスコさまは航空機器以外にも鉄道車両用ブレーキで国内市場シェア約50%、精密減速機の分野では中大型産業用ロボット関節用途での世界シェア60%と各事業分野のスペシャリストとして、地域社会の脱炭素化を率先していく予定です。当社もナブテスコさまのパートナーとして今後も幅広くサポートして参ります。

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