2025年07月02日
株式会社シズオカコールドストレージ
株式会社前川製作所
中部電力ミライズ株式会社
株式会社前川製作所(東京都江東区、代表取締役 社長執行役員:前川 真、以下「前川製作所」)と中部電力ミライズ株式会社(愛知県名古屋市、代表取締役:神谷 泰範、以下「中部電力ミライズ」)は、株式会社シズオカコールドストレージ(静岡県焼津市、代表取締役社長:長谷川 幸雄)が運営する冷凍マグロ倉庫において、前川製作所の空気冷凍システム「PascalAir(パスカルエア)」を活用した需給調整市場向けデマンドレスポンス(以下「DR」)(注1)を開始いたします。
3社は、本日から、国内で初めて(注2)、超低温用冷蔵庫(SF4級(注3))に導入された冷凍機を活用したDRにより、需給調整市場(注4)へ参入(応札)いたします。
(注1)電力の需給状況や再生可能エネルギー(以下「再エネ」)の発電量に合わせて、電気をお使いのお客さま(需要側)に電気の使い方を工夫いただく取り組み。
(注2)超低温用冷蔵庫(SF4級)に導入された冷凍機をリソースとする需給調整市場への参入は、国内初(前川製作所および中部電力ミライズ調べ)。
(注3)冷蔵倉庫の冷蔵・冷凍温度帯はC3級からSF4級までの10等級に区分され、最も低いSF4級はマイナス50℃以下の温度帯を指します。
(注4)需給調整市場では、取引商品(調整力)に求める要件が細分化されており、商品区分のうち「三次調整力②」へ参入いたします。
需給調整市場は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、天候により出力が左右される太陽光や風力などの再エネ電源の導入拡大が見込まれる中、電気の需要と供給の差をなくす(注5)ための電源(調整力)の確保を目的に2021年4月に開設されました。本市場に参入し調整力を供出していくためには、お客さまの負荷設備(注6)や自家発電設備、蓄電池といったエネルギーリソースを高精度・高速(注7)に制御することが必要となります。
(注5)電気は大量に貯めることが難しいため、電気の使用量(需要)と発電量(供給)を常に一致させる必要があります。
(注6)工場の生産設備など、電気を消費する設備。
(注7)需給調整市場 三次調整力②では、一般送配電事業者による指令から60分以内に応動する必要があります。
お客さまの負荷設備のうち、超低温用冷蔵庫で使用される空気冷凍システムは、年間を通して電力を消費しており、DRに活用できるエネルギーリソースとして注目されています。
前川製作所と中部電力ミライズは、空気冷凍システムを活用したDRによる需給調整市場への参入に向け、2023年10月から、シズオカコールドストレージの冷凍マグロ倉庫(静岡県焼津市、以下「本倉庫」)において、本倉庫に導入(注8)されている「PascalAir(パスカルエア)」を用いたDRの取り組みをおこなってまいりました。
(注8)冷凍機の導入にあたり、環境省による2023年度「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」の補助金交付事業に採択されています。
冷凍マグロ倉庫は、マグロの鮮度を維持するためにマイナス60℃~マイナス50℃(注9)の超低温環境で冷却されているため、一時的に冷凍機の稼働を抑えた場合においても、保管されたマグロが保冷剤の役割を果たすことで庫内温度が変わりづらい特徴があります。この特徴を生かし、前川製作所と中部電力ミライズは、冷凍マグロ倉庫を活用した需給調整市場向けDRの技術構築に成功いたしました。
(注9)本倉庫では、マイナス60℃を庫内温度の基準としています。
本倉庫では、DR開始時に、中部電力ミライズの高速自動制御システム「MiFFS」からの制御信号を受信した「PascalAir(パスカルエア)」が自動で使用電力を削減します。DR終了時には、「PascalAir(パスカルエア)」が冷却運転に自動復帰することで、シズオカコールドストレージは機器操作などをおこなうことなく、DRに対応することが可能となっています。
今後、前川製作所と中部電力ミライズは、2025年度の需給調整市場への調整力供出を通じて得られる結果から、DRに対応した空気冷凍システムの普及拡大に向け、更なる取り組みをおこなう予定です。
シズオカコールドストレージ、前川製作所および中部電力ミライズの3社は、本取り組みに加え、今後もそれぞれの技術や知見を活用し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
冷凍マグロ倉庫を活用したデマンドレスポンスのイメージ

シズオカコールドストレージに導入されている「PascalAir(パスカルエア)」

前川製作所 空気冷凍システム「PascalAir(パスカルエア)」について
「PascalAir(パスカルエア)」は、空気を冷媒にした冷凍システムで、マイナス100℃~マイナス50℃の超低温領域を作り出す冷凍機です。冷媒として使用する空気は、オゾン層破壊係数(ODP)、地球温暖化係数(GWP)がゼロで地球環境負荷がないことに加え、従来の蒸気圧縮式フロン冷凍システムに比べ最大50%の省エネルギーが可能です。
マグロやカツオの保管、半導体製造、医療・医薬品の製造及び保管など、超低温が必要な様々な分野でご利用いただけます。

以上