豊田合成株式会社 さま(愛知県清須市)
中部電力のエネルギーコンサルタントが“現地現物”で即応。海外生産拠点の省エネ・CO2削減を強力にサポートします。
PROFILE
豊田合成株式会社さまは、1949年に創立し、ゴム・樹脂の高分子技術を用いた自動車部品を主軸に多種多様な製品を生産。世界17の国と地域に64のグループ会社が事業展開し、2019年には創立70周年を迎えました。主な製品は、ガラスラン、オープニングトリム等のウェザストリップ製品、ブレーキホース、フューエルフィラーパイプ等の機能部品、ラジエータグリル、コンソールボックス等の内外装部品、エアバッグ、ステアリングホイール等のセーフティシステム製品、LED、空気清浄機、半導体製品、e-Rubber製品等の特機製品です。
プロジェクトメンバー
豊田合成
- 環境部
- 担当副本部長
- 長尾 一彦
豊田合成
- 環境部
- 環境推進室
- 服部 弘樹
豊田合成
- 環境部
- 環境推進室 GL
- 伊藤 哲浩
豊田合成
- 環境部
- 環境推進室 GL
- 鈴木 卓哉
中部電力
- 名古屋営業部
- 沖本 徹
中部電力
- 名古屋営業部
- 岩田 朋大
中部電力
- 名古屋営業部
- 吉添 一城
中部電力
- 名古屋営業部
- 大石 叡人
CO2排出量の約7割を占める海外生産拠点での省エネ促進を
豊田合成さまは、持続可能性の追求に向けてグローバルCO2排出量の削減を加速するため、2016年に「TG2050環境チャレンジ」を策定し、「工場のCO2極小化」を掲げています。この目標を達成するため、ユーティリティや生産設備を省エネの観点から改善する専門チーム『TG-ESCO(注)』を結成し「エネルギーロス=ゼロ」を目指すなど、様々な取り組みを推進中です。
(注)TG-ESCO:
TG-Energy Saving Collaborative Operations
中部電力は、国内の生産拠点において産業用空気圧縮機(コンプレッサ)や空調、ボイラ、冷却設備、生産工程などの運用改善をご提案し、実績を重ねてきました。2015年より、新たなサービスとして海外工場の現場調査、データ計測を行い、省エネの提案をする「海外省エネサポートサービス」を開始。
このような中、豊田合成さまからご相談が寄せられました。
「豊田合成グループは、CO2排出量が約30カ所の海外生産拠点で約7割を占めている。グローバルなCO2削減を推進するには、日本で培った省エネ活動を海外拠点にさらに浸透させ、計画的・効率的・自立的に取り組む風土を醸成する必要がある。ついては豊富なノウハウを持つ中部電力のサポートをお願いしたい」と。
海外生産拠点の多くは日本と同様の生産設備が稼働しているものの、省エネの取り組みに差があったり、現地駐在の日本人スタッフが少人数であったりと、各々のエリア事情に合わせたCO2削減方策をいかに実行していくかが喫緊の課題でした。
現場での計測データをもとに、即日実行できる運用改善策をご提案
中部電力の省エネサポートサービスの手法は、海外も国内と基本的に違いはありません。製造現場にエネルギーを供給するユーティリティ設備の消費電力データや稼働時間などを測定し、得られた数値をもとに機器の特性や生産工程と突き合わせてムダ・漏れなどを発見し、現場に即した解決策を具体的に示して稼働の最適化を図ります。
海外の場合は、限られた訪問日数の中で改善箇所を的確に指摘し、現地スタッフに「なぜ、改善すべきか」「どのように解決策を実施するか」をご理解いただくことが不可欠です。そのため、事前に生産ラインや設備図面など必要なデータをいただき、現地スタッフと調整を行います。
「国・地域によって事情は様々ですが、どのような状況であろうと、私たちには短期間で確実に省エネの実効性を高める使命があります。改善策を着実に実施いただくことで、工場全体の5~10%のエネルギー削減を目指しています。私たち自身、相当なプレッシャーを感じつつ業務に臨んでいますが、成果が目標を上回った時は、まさに省エネコンサルタントの醍醐味であり、大きなやりがいとなっています」(中部電力)
海外省エネサポートサービスの流れ (イメージ)
お国柄やエネルギー事情が異なる中で短期集中の省エネサポートサービス
豊田合成さまでは世界を4極(日本、米州、アジア、欧州・アフリカ)に区分し、それぞれ旗艦となる拠点を中心に、地域の実情に即した生産活動を展開しています。海外で省エネ活動を実施するにあたって、旗艦工場やエネルギー消費量の多い工場を選定し、1カ月余の準備期間を経て、中国を皮切りに活動をスタートしました。
【中国】エア漏れの箇所を特定し、すぐに実践できるようマーキング
最初に手掛けたのが広東省佛山市にある「豊田合成(佛山)さま」です。
海外ではコンプレッサの圧力を高めに設定している場合が多く、佛山においても同様でした。現地で実作業を確認し、適切な圧力に下げていただきました。また、エア漏れ箇所には一目瞭然で分かるよう番号札を貼り、点検後も確認できるよう写真付きで設備配置図に場所と修繕法を示しました。現場の方々にはエネルギー削減の原理・方法を説明し、ご理解いただけるよう努めました。こうした啓発活動を設けることで新たな気づきが生まれるきっかけになります。
「中部電力さんは改善点を指摘して終わりではなく、実践・成果に至るまでを強く意識してくれています。誰が見ても、どこでエア漏れしているかが確認でき、修繕対応をしたところ、していないところのチェックもできるので、実施率も高くなります。この方法をグローバルに展開していきます」(豊田合成 伊藤さま)
「同行した現地スタッフも感心していましたが、中部電力さんの手法は具体的で実践しやすい。エア漏れの番号札方式は現地スタッフも新鮮だったようで、上海の統括拠点がエリアの他拠点も点検するようになり、今では女性スタッフ2名でできるようになりました」(豊田合成 服部さま(2015年当時中国駐在))
「タイの拠点も省エネサポートサービスをお願いし、当時ご指導いただいた現地スタッフが、今ではタイトヨタグループの省エネ教育講師を務めています」(豊田合成 服部さま)
「工場の調査は、設備機器によって平日だけでなく土・日の非稼働日も実施せざるを得ませんが、中部電力さんには非稼働日を含めて調査・対応いただき本当に感謝しています」(豊田合成 長尾さま)
【チェコ】生産工程の改善点を抽出し目標の4倍のCO2排出削減策をご提案
チェコ共和国の北西部に位置する「豊田合成チェコさま」は、日系企業が同国へ進出したパイオニア的存在です。本拠点の環境は整備され、省エネ活動も高いレベルで維持されている中で、CO2排出量の削減目標は他拠点と同じ年間1.1%を掲げていました。中部電力は4つの工場棟を4人体制で2チームに分かれて調査、課題を洗い出し、目標の約4倍に相当する年間4%の削減策をご提案しました。
「午前中に工場を診て、現地スタッフに必要なデータを伝えると、午後にはデータが届き、解析ができるという迅速な対応をしていただきました。初めて工場を拝見した時は、これだけ整備された設備だけに、効果的な改善策を打ち出せるだろうかと不安になりましたが、現地の方々の全面的な協力を得て予想を上回るご提案ができました」(中部電力)
「後日、現地法人トップに中部電力さんのレポートを説明しましたが、細かく調べて具体的な改善提案まで示してくれてありがとうと、大変喜んでいました」(豊田合成 長尾さま)
【アメリカ】現地現物のデータをもとに改善点を指摘し省エネ意識を高めて実行へ
アメリカではケンタッキー州に位置する「TGケンタッキーさま」を手掛けました。アメリカは電力単価が低く、省エネ意識が日本ほど高くありません。現場の方の中には「コンプレッサの台数制御管理を導入しているから完璧」という自負を持つ方もみえました。
こうした中で、中部電力は計測器でリアルタイムデータを採り、エネルギー量をグラフ化して改善ポイントを提示していきました。他の拠点のデータではなく、現地現物のデータをもとに説明することで理解が深まり、納得度も高くなります。
「海外では、現場の方々に納得いただけないと改善が進みません。これまで蓄積した知見を活かして、データの見せ方の工夫や、要点をまとめたグラフ作成、分かりやすいプレゼンテーションに努めています」(中部電力)
「当初は4日間の短期滞在で多数の設備機器をチェックし、改善箇所を抽出して対策を打ち出せるのか半信半疑でした。ところが実際にケンタッキーで同行してみると、中部電力さんは現地スタッフとのコミュニケーションがスムーズで、リストアップしたユーティリティ設備を手早く計測しながら改善箇所を発見し、プレゼンテーションまで行っていただきました。そのマネジメント力には驚きました」(豊田合成 鈴木さま(2018年当時アメリカ駐在))
各拠点でのエネルギー削減策のご提案
中部電力は、中国、タイ、チェコ、アメリカのコンサルティングを手掛け、各生産拠点で3~8%のエネルギー削減策をご提案しました。
運用改善と設備投資の両面からグローバルな持続可能性をサポート
豊田合成さまでは、2019年12月から「環境委員会」のメンバーに海外事業所の拠点長を加え、海外生産拠点の省エネ施策を強化しています。
「国内では製造部と環境部が一体となって“TG-ESCO活動”を展開し、省エネの改善ネタを発掘していますが、海外にもそうしたチームを派遣する必要性を感じています。今後もエネルギーのプロである中部電力さんにサポートいただければ心強いです」(豊田合成 伊藤さま)
「2050年目標“工場からのCO2排出量の極小化”を実現するには、再生可能エネルギーの活用も必須要件となります。最も頭を悩ませているのがこのテーマで、クリーンエネルギーの供給といった側面からも中部電力さんに助言いただければ非常に助かります」(豊田合成 長尾さま)
「“CO2排出量の極小化”への第一ステップ『エネルギーロス=ゼロ』を達成するだけでも様々な手立てが必要です。私どもは経験や研究成果を活かした“エネルギー見える化の進化形”や“IoTを活用したソリューション”などを開発しています。そうした技術を活用し、設備稼働の最適化を図る“運用改善”はもちろん、経営判断が伴う“設備投資”や国内外のESCO活動、クリーンエネルギーの効率的な活用方法においても有益なご提案を用意しています」(中部電力)
中部電力の海外省エネサポートサービスは、現地調査・ディスカッションを実施後、レポートを作成します。さらに、アフターフォローとして再び現地へ赴き、改善状況の確認や現地スタッフへの啓蒙・教育、中長期の活動計画を作成することも可能です。これまでに手掛けた23企業31の海外工場(2020年4月時点)の実績をもとに、今後もエネルギーコンサルティングのノウハウをさらに磨き、グローバル企業の持続可能性に貢献してまいります。
- 導入事例